脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

2022-01-01から1年間の記事一覧

電子の海と雨音

雨音が零れて脊椎流れてくはらはらと舞う雪素肌を撫でてゆきワイパーを上げた車の白化粧花嫁を乗せ馬車となり走りつつたてがみの靡く風との風鳴よ飼い犬の遠吠え夜月に吸い込まれ星空の散らばる欠片拾い上げ炭酸の中に沈めて飲み干せば喉を焼く胃液の酸の熱…

生の音

ゴロゴロと鳴るお腹の音を他人のように聞いていた生きたいという私の声私はそれを無視したい体と心は別物だ私は停止を願うのに体は再生を求めている仰向けになった部屋にひとり無防備に毛布にくるまって胎内で眠る赤ちゃんのようにこんこんと眠り続けたい誰…

生きる

剥き出しのナイフひとつで世界へ立ち向き合うのだ私達はただ個で孤で唯一見えるものは自分の世界だ神すら敵すら自分のもの それは有刺鉄線で守られたまるで柔らかな鳥の巣のようそこに御座すは天使か悪魔かどちらにもなれる卵がひとつ 子犬の舐めるミルクの…

雪が降る頃

舞い散る枯れ葉が白い雪に変わる頃お元気ですか風邪など引かれていませんか粉雪が牡丹雪に変わるのを見てふとあなたのことを思い出しました積もりそうにない粒子状の氷は溶けるより早く多くくっついて冷たい土台を作りますその上に大きく柔らかなわたあめの…

ホワイトクリスマス

聖なる夜に降る雪は街灯の明かりで照らされてキラキラ光って舞っているそれはきっと天使の羽地上に祝福しに来た者の散らした少しの忘れもの少しが積もってたくさんになり街を白く染め上げたのなら明るい夜のできあがり雪に埋もれたプレゼントを探しておいで …

ココア共和国1月号に掲載されました

今日メールチェックをしていたら、ココア共和国様からメールが来ていて驚きました。 ココア共和国という詩の雑誌がありまして、そこにぽつぽつ投稿させていただいていたのですが、なんと次の1月号に載せていただいたそうで。 有難い限りです。ここ最近なん…

失った世界

春に紅葉 夏に降雪 秋に桜 冬にたんぽぽ君を失った世界は狂ってしまった僕があのとき引き留めていればこんなことにはならなかったのに怖かったんだ 失うのが君も 世界も どっちも欲しいそんなワガママで 君はいなくなり世界は崩壊へと歩みを進めていく (ラ…

ウェアラブルデバイス

こちらの体調のしんどさなどお構いなくウェアラブルデバイスは定期的に運動を促してくる余計なお世話だ私は無駄に飲み込んでしまう空気と無意識に食いしばってしまう奥歯と頭の奥から響いてくる鈍痛とそれらをどうにかしてやりすごそうと一生懸命なのだ運動…

そして、息をする

忙しい日々は呼吸することを忘れてしまいそうになるほどだ息抜きというがその時間さえ満足に酸素を吸えてないそして夜になって息苦しくなってそこでようやく息を吸うお腹が 胸が 膨らむ呼吸をしている明日は息をしよういつもそう思っていつも忘れている (ラ…

そんな日

今日は晴れていて散歩をした今日は曇っていて換気をした今日は雨が降っていて憂鬱だった 今日は天井を突き抜けて女の子が落ちてきた天井どうしようとか警察に行くべきかとか考えてとりあえず女の子に私は熱いコーヒーを入れた そんな夢を見たそんな日 (ラン…

冬の寒さ

気づけば冬になっていた水道の水が冷たくなり唇が乾燥しカサカサになり体に力がこもって肩こりになりそれでも僕は冬に気づいていなかった鼻水が出て咳が出て頭痛がしてやっと気づいた寒さは僕を覆っていた毛布を被っても寒さはその下に入り込んで僕の体を冷…

空気の軽さ

冷たい空気はとても軽いだから空気が冷たい季節はみんな着込んで厚着して重さのバランスをとるんだね夏は熱くて重いから薄着でみんな過ごしている冬は冷たくて軽いから飛んでいかないよう重くしてそうしてみんな雲の下地面を歩けているんだね (ランキングに…

冬の手紙

街に暖色が増えるのは寒い季節だからなのだろうね自然の木々さえ紅や橙に葉を染めて冷えていく街を暖めようとしているけれどその努力虚しく葉はもぎとられてやがて街は白く染められてしまう吐く息の色すら染められて私達は寒さに抗えないかじかんだ手に白い…

目薬

瞼が下りたがっているとき目は休みたがっている目薬を一滴注いでやるとじんわりと冷たさが眼球を覆い少しばかりすっきりとする目を瞑って開ければ少しばかり明るくなった気がする視界目薬をさすだけで世界が明るくなるのなら夜も怖くなくなるはずだ (ランキ…

冬の不思議

ほうと息を吐けば白く染まり自分が生きていることを自覚させられる己の体温で温まった空気外気に晒されればすぐに冷えて透明になるけれど私の体はどれだけ冷えても透明にならない宙に溶けて消えていかない白い雪の上に続く足跡私が歩いてきた証冬は不思議だ…

恋煩い

目が合っただけで胸が詰まって声を聞けば脳が蕩けそうになって触れればそこが熱を持ってひとりでいると思考がいっぱいになって恋煩いとはかく或るべきかその想いは口に出そうとも減るどころか増していくばかりたった二文字あるいは五文字の言葉の内部に内包…

年の終わり

スーパーはもうクリスマスを通り越して正月気分でシャンメリーと鏡餅が並んで売っている今年ももうすぐ終わるのだ終わりは新たなはじまりでしかない私たちはいつも何かを終わらせているずっとその繰り返しその繰り返しもいつか終わる私たちは終わりに向かっ…

そば

湯気が立ちのぼる器の中食欲をそそる香りが混じる蕎麦の上にはネギとゆず皮においをかげばよりお腹が空いて割り箸をパキンと割ってそっと蕎麦をすくうまとった蒸気もまとめて吸えば口内に広がる幸せの味 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いい…

冬が来た

こぽこぽとお湯の沸騰する音がする蒸気口から湧き出る蒸気は真っ白で部屋の寒さを物語っている私はティーバッグの包みを開けてマグカップにティーバッグを入れたもうすでにお茶の良い香りがするそこにお湯を注いでふーふーと息を吹きかけると白い蒸気が顔に…

安心は次の日睡魔になる

安心は次の日睡魔になるほわほわとなんだか浮いた心地でふかふかな雲の上に横たわっているような安心感という綿に包まれあたたかさを感じながらそれは睡魔のしわざだと囁かれてその手を取るか否か今日は委ねてみようかなそう思い私は睡魔を受け入れる静寂が…

詩集を出します

ComicVket3に当選いたしましたので、開催日の令和5年2月23日から詩集を2冊、販売しようと思います。 実際は3冊ですが、こちらのブログに綴ったものをまとめたのは2冊です。 1冊目はTwitterやここに綴ったものをまとめた詩集 amatsui0.booth.pm 2冊…

贅沢なこと

子供の頃夢見た世界では私は魔法使いだった子供の頃見た世界では私はアンドロイドだった今の私は何でもないただひとりの人間としてただこの世を生きているだけ物足りなさを感じながら日々を過ごしているけれどきっとそれは思ったより贅沢なことなんでしょう …

誕生日

誕生日おめでとう と言われるたびに何がめでたいのだろうと思ってきたでもそれは私を祝う言葉でもあるが感謝の言葉でもあるらしい生まれてきてくれてありがとう出会ってくれてありがとう仲良くしてくれてありがとうそんな意味が含まれていることにやっと気が…

冬の訪れ

水道の蛇口をひねると冷たい水が手を滑り落ちていった夏の氷をたくさん入れた麦茶と同じ温度のまるで手が凍ってしまいそうになるその水をコップで汲んで一口飲むと喉から食道を通って今での道筋が露わになる冷たさで染められて浮き上がる体の内部ほうと息を…

言葉を紡ぐ

言葉を紡ぐことそれは薄氷の上にちょっとずつ落ち葉やビー玉や虫の死骸小さなものを少しずつそっと積み上げていく行為のよう雑多な山はいずれ氷にヒビを入れ静かにゆっくりと沈んでゆく薄氷の下に漂ってそこでやっと文章になるそして薄氷には雪が降ってまた…

吐息

吐く息は白いのに 吸う息はどうして白くないのだろうそれは吐く息に その人の体温が含まれているからだ吐く息の白さはその人のあたたかさ吐く息の白さはその人が生きている証かじかむ手にはーっと吹きかければその手には生きたあたたかさが伝わって少しだけ…

片恋

私は夢想するあなたと手を繋いだところきっとあなたの手は大きくて私よりあたたかいんでしょう私は妄想するあなたが愛を囁いてくれるところ歯の浮くような台詞さえあなたが言えば自然でしょう 本当はどうかなんてどうでもいいの空想の彼私の望み通りの彼それ…

退屈

退屈な時間ができるとつい考えてしまうんだこの足が宙へ躍り出たときの体の軽さや吊られたときの重力の重さあの水を飲み干したときののど越しの良さやその刃の切れ味の鋭さ 僕はそれを夢想してはいつも目を覚ますように退屈な時間から抜ける 退屈は僕を殺す…

浮力

ぷかぷかと浮いている海に浮力を感じながら上へけれどもう上がれなくて下へ重さが戻ってくる体へ ここは海ではない感じるのは重力だけ力の抜けた体には空虚な重りが詰まってる (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

夜に眠る

夜に眠ることは勇気がいることだって知ってた? 今日を終わらせる勇気明日を始めさせる勇気過去を考える勇気未来を考える勇気 ほらたくさんの勇気がいるときだから勇気が足りない人は夜眠るのが怖くなっちゃうんだ 本当は勇気がいることなんかじゃないのにね…