脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

ウェアラブルデバイス

こちらの体調のしんどさなどお構いなく
ウェアラブルバイスは定期的に運動を促してくる
余計なお世話だ
私は無駄に飲み込んでしまう空気と
無意識に食いしばってしまう奥歯と
頭の奥から響いてくる鈍痛と
それらをどうにかしてやりすごそうと
一生懸命なのだ
運動してこれらがなくなるなら喜んでするが
生憎マシになったことはない
運動は体にいいというそれは間違ってないだろうが
少なくとも今すべきことではない
この高性能の腕時計だって
今私がすべきことを正しく指示できるわけもなく
私自身その解消法を知るわけでもなく
私は布団にくるまって重病人のように丸まり
時折起き上がってはお腹に溜まった空気を無理矢理吐き出す
眠るときはマウスピースを噛み
薬を飲んで目を閉じる
初め2錠だった薬物は今や3倍になり
けれど心身は悪化するばかり
何が原因なのだろう
何度も何度も探り自問自答しては
アタリをつけて解決策を探る
そうして少しマシになっては
気づけばまた布団の中に戻る
その繰り返しでもうリズムが整ってしまっていて
私の人生はきっとこんなふうにゆるやかに
テンポを落としながら堕ちていくのだろう

 


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