脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

消えゆくもの

するりと消えてゆくするりと溶けてゆく心の底に貯まる言葉などほんの一握りでしかない (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

幸せは痛いですか

言葉のナイフを人に刺すつもりで研いでいる人はどれくらいいるのだろう多分きっと大半の人は研いでいるのがナイフだとは思っていないし、突き刺す相手がそれを読んだ人間だとも思ってないのだろうそのナイフが刺さったときの衝撃それを幸せと呼ぶときもある …

盗んだ月

盗んだ月を土産に君のもとへ訪ねたら空が可哀相だよと君は空に月を返してしまった君が月を好きだというからこっそり盗んできたというのにそう言うと君は笑ったあなたと一緒に眺める空にあるから好きなの と言われてしまっては僕は月を見ながら反省するしかな…

情報

1日のうちにどれだけの文字を、私は摂取しているのだろう流れ消えていくジャンキーな言葉たちインスタントのように現れては消費され言葉は本来の意味を発芽できずにいるまた流れてきた文字列を私はさらりと流し読みするその言葉を噛みしめることなく言葉た…

私に

私が私であることに対して私は私でいたいと思っていないわけではないけれど少しばかりの不満はもちろんあってそれは昔からあるものもあれば最近気づいたものもある。それらをひっくるめたものが私なのなら私は私でいいのか疑問を抱くがそうでなければ紡げな…

この世のものに似てる

ろうそくの灯りに似ている気がした少しおぼろげなその灯りはそこらを飛んでいる鬼火に似ている重たくて暗い雲に似ている気がした地獄の空の方が暗いけど雨が降る直前の重たそうなあの雨雲どうしても思い出してしまう生まれる前の地獄のこと (ランキングに参…

埋葬像

冷たい水が頭からかけられて、その寒さに私は震えた。いつか私は美しくなるのだろう。いつか私は可愛くなるのだろう。いつか私は綺麗になるのだろう。いつか私は賢くなるのだろう。いつか私は格好良くなるのだろう。そう思って歩みを進めてきた。 少しずつ、…

静寂の中へ

気付いたとき私の周りにはたくさんの花が咲いていた彼女たちは静かに私の耳へ風の囁きを届けてきていたその音はきっととても静寂に近く私はおそらく自ら望んでここへ来たいつの間にか川のせせらぎが聞こえるようになり私は少しずつそちらへ近づいているよう…

春の報せ

ひとつの報せが今朝届いたこれからそちらに向かいます と梅の香りの手紙が一つもうそんな時期ですかとそれを読んだ君は深く息をついてそれじゃあそろそろ準備をします と忙しなく旅支度を始めたなぜ会わないんだい?と聞くと彼女は眩しすぎるので と冬の君は…

雨をやめてよ

雨をやめてよ。部屋の中で聞く雨音は好きだけど外出するときは好きじゃない。雨をやめてよ。部屋の中で聞く雨音のリズムはすごく落ち着くけどそれに打たれるのは好きじゃない。雨をやめてよ。雨粒は小さなギロチンで私を断罪しようとする。雨をやめてよ。私…

朝焼け

夕陽の向こうはどこかの朝焼け。焦げた匂いが空を焼く。冷めれば広がる水晶色に僕らは透明な海を見る。潮風の幻覚を感じる波打ち際の泡のような雲は陽を点すのを手伝って、赤紫に滲んで光れば、焦げた紺色が空を覆う。火花は星になり点々と煌めいて、僕らは…

嘘だとしても別にいいんだ嘘をつき続けてくれるならそれが僕にとっての真実だから僕が知らなければそれが本当でだから君はずっとその嘘を守り続けてよ僕はそれを信じて振る舞うからそしたら僕は本当になれる (ランキングに参加しています。よければ応援お願…

暮れる月

朝焼けがはじまっていた黒に近い紺色の空の端がピンク色に染まっているあれだけ光っていた月は白く青ざめ紺色のカーテンを引き連れて沈もうとしていた朝が来る私は月が沈んでゆくのを名残惜しく見守る月と太陽が同じ地平線に並んだとき二人は同列に私を照ら…

桜の終わり

桜の終わりは梅雨というガンマン。雨粒の銃弾をたくさんの銃に装填したら一斉に花びら目掛けて撃ち落とす。桜の小さな花弁なんて風という空気の圧で舞ってしまうのだから、そんなに急いで撃ち落とすこともないだろうに。 ぼたぼたと銃弾の音がする。この銃弾…