脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

洗濯

私の匂いとあなたの匂い。洗剤と一緒に混ぜましょう。トッピングは何がいいかしら。そうして二人で柔軟剤を選ぶ。二人の香りは何かしら。 ほんの少しの、幸せの香り。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

◆ 自殺という行為をしたことがある

自殺をしたことがあります。 あります、というのも変な話で、結局今こうして生きてしまっているのだから、その自殺は自殺未遂で終わってしまったものだが。 自殺という行為をしたことがあります。 私の寝室には今でも天井まである本棚からかけられた首吊り用…

朝の曲

優雅にクラシックで朝目を覚ます。 ――なんてことはない。 朝は戦場だ。ラスボスは時間。まず第一の敵から強すぎる。そいつの名は布団という。私を離そうとしてくれない。私はついついそいつの罠に引っ掛かってしまい、ようやく出られた頃には五分十分経過し…

ぐしゃぐしゃに掻き集めた。掌の上から零れ落ちる。僕はまたそれを掬う。何度も繰り返す。繰り返し繰り返し。けれど全部を掌に納めることはどうしてもできなくて。全てばら撒いて宙に叩きつけてやりたくなる。手に入らないものなどいらない。そう強気でいた…

◆ 今週のお題「最近おもしろかった本」

今週のお題「最近おもしろかった本」 ほしとんで05 (ジーンLINEコミックス) 作者:本田 KADOKAWA Amazon 『ほしとんで』という漫画の最終巻。出てすぐに買ったのにまだ読んでいなかったので、という軽い気持ちで読んだら、今の私に必要な思考はこれだ!と…

恐怖

そこから一歩踏み出してごらんよ。そこから少し背伸びしてごらんよ。そこからいっぱい飲んでごらんよ。そこからたくさん吸ってごらんよ。無力さを皆に与えてやろう。たったひとりの勇敢さを持って。さあ前へ進みだそう。届かなかった声は錆びた鉄だ。鈍色の…

◆ 通院記録 10月13日

昨日まで20℃以下の気温が続いていたのだが、今日という出かける日に限って晴天24℃という長袖では若干暑い日だった。 病院ではいつものように最近どうかを聞かれる。 ・中途覚醒、早朝覚醒がある ・中途覚醒した際手足がむずむずしていることがある ・便秘と…

生命

耳に入るは喧嘩する仔猫のような鳴き声だ私はその正体を知っている手で感じるは震える狐兎の体温だ私はその正体を知っている 目を閉じ口を綴じ耳を塞ぎ五感を絶ってそれでも感じるは不規則な脈動それでも感じるは内なる光球それは紛れもない私自身の この世…

◆ 雨椎零、とかいて、あまついれい、と読みます

雨椎零、とかいて、あまついれい、と読みます。 小学一年生の頃の将来の夢は詩人でした。その後小説家に変わって、いろいろ書いていたけど、とある出来事があって筆を折ってしまいました。大学を出て普通に就職したけれど、数年後うつ病になり退職。なかなか…

雨を好きになったのはいつからだっただろう。風に攫われそうになる傘を握り潰さんばかりに持ち避けて靴の隙間に捩じ込まれる水滴は嫌いだったはずだ。カーテンを閉め切った部屋の中響く雨音。それはいつからか私の中を流れるようになった。鼓膜から入り足の…

n+1番目の選択肢

希死念慮を説明するとき私はいつも選択肢の話をする。 希死念慮を抱く人全員がそういうわけではないと思うが、死を意識している人間は意識していない人間に比べて選択肢が多い。その選択肢は常にそこに在って、選択できない状態だけれど、そこにあることに意…

訃報

訃報を聞いては羨ましい、と思う。なぜ私はそちら側になれなかったのかと。不謹慎だと怒らないで。何を言うかと笑わないで。私の求める未来は昔から変わっていないのです。救済ではない。それは現象。絶望ではない。それは結果。捏造ではない。それは羨望。…

夜ふかし

この夜は起きていたいんだ。そして昼間背もたれを倒した座椅子の上で猫のように丸まってこんこんと眠りたいのだ。外の真っ暗闇は静寂と絶望を連れてくるけど、たまにはそれを味わいたいんだ。朝日の静けさと羨望よりも僕は甘いようで苦い深夜の風を噛み締め…

キャンバス

例えばバケツをこぼした空には筆でちょちょいと描いてしまえばいい。それが君の描く世界なら、僕は喜んで創造しよう。ぐちゃぐちゃに走らせた筆の軌跡が、たとえ何かを形作らなくても、それが君の世界ならそれは、僕の望んだ世界なんだ。君の心を覗かせてほ…

中途覚醒

ふと目が覚めて枕元の時計を見ると、デジタルな数字は意地悪するかのように薄く薄く表示して、私に正しい時刻を伝えてはくれなかった。ベッドから落ちたスマホを拾い上げ画面を表示させようとしたが、返ってきたのは電池切れの赤色の点滅。時間から解き放た…

夜明け

静寂を塗り潰す雨音は乾いた猫の匂いがする。家の中でひとり聞くにはちょうどいい雑音だ。そしてふと気づいたときには消え失せている。飼い慣らすことのできない夕暮れの街角。私はカーテンも開けずじっとしている。窓越しの気配は生ぬるい温度を持っていて…