大きな道路をひとつ曲がって小さな路地からまたひとつ入って人ふたり並んで歩けるほどの歩道の脇から香ってくる鼻腔をくすぐり抜けていく金木犀の甘い匂い食べたらどれほど甘いだろうと幼いときは考えていた今はどれほど苦いだろうかと香りの嘘を考えている …
身体を浮かそうと四肢でもがく。その姿はよほど滑稽だろう。バチンと水面を叩いて顔を無理矢理水上に出し息をする。酸素を吸えた気がしない。だっていくら空気を取り込んでも僕の身体は沈もうとする。前に進むどころではない。僕はこの現実のような水面で、…
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