脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

爪やすりを武器のように持って人指指の爪を研いだ。表面を磨き綺麗に光を反射するようになったらベースコートを丁寧に塗り、それが乾いたら真っ赤なマニキュアを塗る。中指も同じく光らせたあと青色のマニキュアを塗る。
何度も何度も塗り直す。分厚くなるまで何度も何度も。
これは武装だ。私が簡単にできる武装。いつもより長く尖り鋭く光りビビッドに染め上げられた爪。トップコートで防御力を補えばそれは何物も切り裂く刃になる。薄っぺらい夢想や下らない虚構。ばかじゃない、と私は爪で引っ掻き本を破る。その行為が喩え一粒の狂気だったとしても。


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