脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

匂い

太陽の日差しの色は熱された樹木から滲み出る樹液のようなもので、それを必要とする虫達のように私達はそれを食べなければいけない。舌にのせた瞬間に広がる灯の味はどうも鼻について好きじゃない。目から皮膚から入ってくるねっとりとしたその感触がどうにも居心地が悪くてしょうがない。

曇の日はまだましだ。薄暗さが醸し出す安心感とそれに付随する無味無臭。まるで虚無のような風が吹き抜ける一番体が軽い日。でもそれは紙一重に雨という重い日になる可能性を持っていて、アスファルトの焦げる匂いや草木の維管束の匂いがしてきたらそこは空から無数に放たれる鏡に占拠される。

小さな雨粒は鏡像を映している。 水滴に映り込む無数の私。その数だけ、次元があって、その数だけ、世界があって、その数だけ、私がいる。無数の私が私を見ている。ときに苦くときに不味くときに渋くときに辛く。きっと多分それが本当の私。本当の私の味覚。

 


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