脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

ナイフ

あのとき放った言葉が、今でも刺さったまま抜けない。
ナイフは刺さったままの方がいいらしい。抜けばそこから血が溢れてしまうから。
だから抜かない方がいいのかもしれない。抜けばそこから血が流れてしまうから。
だけれどそこに刺さっている限り、私はその言葉を忘れることができない。
だから血が流れることを覚悟して、その言葉を抜くべきなのだろう。
止血はきっとし足りないだろう。きっとしばらく流れ続ける。
だけれど私はそれが怖い。
その言葉を抜くときの痛み。
その言葉を抜いた後の痛み。
その言葉を抜いた後の出血。
その傷口が塞がるまでの時間、私は苦しみ続ける。

 

 

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