脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

ころされる

ころされるかもしれない、と思ったことがある。
それは誰でもない、私自身にだ。
どうやって私を殺すのか。
絞殺か毒殺か殴殺か。
階段の上から突き落とされるかもしれない。
だから階段を歩くのが怖かった。
寝てる間に首を絞められるかもしれない。
だから眠るのがこわかった。

そんな妄想に取り憑かれていた。
強迫観念のような殺意。
それは私を取り囲んでいた。
逃げようにも逃げられない。
私はずっと怯え恐れていた。
あんなに死にたがっていたくせに。
殺されたかったことだってあるのに。
私は私に殺されたくなかった。

あのときの殺意は私の皮を被った何かだったのだ。
あれは私ではなかった。
ふわふわと漂いながら私を弄ぶ。
あれは私ではなかった。
だって本当に私だったら
私は私と心中していたはずだ。

 


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