脊椎と雨音

詩人になりたい人の詩たち

頭痛薬

愚鈍の気配をまとって頭痛はやってくる。
頭が痛い。
それは低気圧を引き起こし空気を対流させ空に滝をつくる。
頭が痛い。
冬なのに蝉が、鈴虫が、蛙が同時に騒ぎ出し私の鼓膜を刺激する。
頭が痛い。
透明なくせに一丁前に体重を持った背後霊が私の肩を圧迫する。
頭が痛い。
分厚い空気の壁が私の肺を挟んで押し潰そうとしている。
頭が痛い。
文字をなぞる指は震え未知の言語を描いている。
頭が痛い。

白い錠剤を2粒、私は大量の水とともに胃に流し込む。
それは私の体内で溶け血液に混じり痛みとともに蝉と鈴虫と背後霊を追い払い空気を柔らかくし未知の言語を訳してくれる。
頭が痛い。
それは世界と共振しているから。
私は世界の一部になど、なりたくはないのに。

 


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